SiGnal
SiGnal's Style

レイルウェイ・ライター 『急行列車の話』

第6回 「急行列車の哀愁」

●姿を消す64本

 新幹線の博多開業まであと2カ月。3月10日には、新幹線はじめ特急列車大増発のダイヤ改正が行われるが、そのかげで急行列車が全国で64本(全体の5%)も減る。姿を消そうとする急行のなかには、一昼夜あまり、1500キロを超えるロングランを誇った〈桜島・高千穂〉も含まれている。

●モクモクと24年

〈桜島・高千穂〉は東京と鹿児島を結び、東海道を昼間走り抜けるユニークな客車列車。東京を10時にスタートした〈桜島〉と〈高千穂〉は門司でわかれ、〈桜島〉は鹿児島線経由で11時43分、西鹿児島着。所要時間25時間43分。〈高千穂〉は日豊線経由と九州の反対側を走り、やはり鹿児島へ14時20分着。なんと28時間20分の長旅である。

 夜行区間があるのに寝台車は1台もなく、〈桜島〉のグリーン車を除いて自由席ばかりだ。急行列車の普通自由席なら急行券を買わなくてもよいワイド・ミニ・ルート周遊券愛用のヤング好み。鹿児島方面から東京・大阪へ働きに来る人たちにも気楽な汽車として喜ばれ、九州路では、車内に焼酎のにおいがあふれたりする。

 この列車、まだ戦後の混乱がおさまらない昭和26年秋に〈たかちほ・阿蘇〉としてデビュー、4分の1世紀近い24年間、ひたすらに走った。電車時代を迎え、さらに新幹線へ輸送の比重が移っても、根強く生き残ってきた。東海道で昔ながらの気どらない汽車旅の雰囲気を味わえる唯一の列車だったのだが……。(中略)

●出世列車は6位

 3月10日のダイヤ改正以後の長距離急行列車ロンゲスト・セブンは、〈きたぐに〉を先頭に〈ニセコ2〉〈雲仙〉〈しらゆき〉〈阿蘇〉〈津軽1・2〉〈十和田1〜3〉。トップの〈きたぐに〉だけが1000キロ以上を走る。“出世列車”として名高い〈津軽1・2号〉は、6位でがんばっている。新しいロンゲスト・セブンも、いつまで、もつか。いまのうちに急行列車の哀愁を、かみしめておこう。

(レイルウェイ・ライター・種村直樹/1975.1.9「サンケイスポーツ『レールに強くなろう』」より)


トップページに戻る
お知らせ刊行物紹介購入案内ブッククラブミステリー外周|特集| |会社紹介サイトマップ
copyright