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レイルウェイ・ライター 『急行列車の話』

第4回 「天橋立どまりの急行〈大社〉」

 ダイヤ改正のたびに特急がふえて急行の影が薄くなっているが、7月の山陰地区改正では、急行の愛称にまで手がまわらなかったのか、変な名前の列車が走っている。

 名古屋・福井−敦賀−天橋立間のディーゼル急行〈大社〉だ。改正前は、天橋立から宮津線をひと回りして山陰本線にはいり、出雲大社の玄関駅、大社までロングランしていた。それが山陰本線の一部区間電化によってディーゼル急行はじゃまにされ、大社参りの主流が車になった影響もあって打ち切られたのだ。

 輸送需要の変化で列車が消えたり、運転区間が短縮されたりするのは時の流れでやむをえないが、大社へ行かなくなった以上、愛称を変えるのが当然で、天橋立ゆきが〈大社〉では誇大広告ではないか。時刻表ファンは「誤植だろう」「変え忘れかな」と気をもんだ。

 ところが真相は、変であることを承知のうえで手抜きしたらしい。11月15日の大改正で、今、名古屋と福井からの編成が敦賀でドッキングし天橋立へ向かっている〈大社〉のうち、名古屋編成が廃止されて福井−天橋立間の単独急行になる。このとき〈はしだて〉と改称する予定なのだという。

 7月時点で〈大社〉を〈はしだて〉に改めると、5カ月半で不要になる名古屋編成の愛称名を、車両ばかりか駅の時刻表や案内板まで書き換えねばならず、ムダと判断したようである。赤字国鉄が経費削減につとめねばらならないのはもちろんだが、お客と直接関係のある愛称だけに問題だと思う。長く走り続けてきた急行なのに、いかにも「もう用はないよ」という仕打ちのようで、かわいそうでもある。

(レイルウェイ・ライター・種村直樹/1982.8.22「毎日グラフ『きしゃ』」より)


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