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レイルウェイ・ライター 『急行列車の話』

第1回 「大回り急行」

 上野を朝9時06分に、新潟・山形ゆき急行〈いいで・ざおう1号〉が発車する。東京の北玄関に出入りする数少ないディーゼル急行だ。〈いいで〉は東北本線の郡山から未電化の磐越西線にはいり、会津若松を経て新津・新潟へ向かう定期列車。〈ざおう〉の方は2月7〜11日など多客期だけ運転の季節列車である。

 本体の〈いいで〉は飯豊山にちなんだニックネームだが、新潟へ行くのは同じ上野発でも上越線が常識だから、ちょっと意外な列車。高崎・上越線を直進すれば330.3キロのところを、ぐるりと大回りして414.6キロをたどる。このルートは、1931年(昭6)に清水トンネルが開通するまで、東京と新潟を結ぶ最も速い列車が走っており、〈いいで〉は過去の栄光を受け継ぐ急行ともいえるのだ。

 しかし、今や鈍足。〈いいで〉の20分後に出る高崎ゆきで出発、上越線の普通列車を乗り継ぐと、新津には〈いいで〉より1分早く着く。推理小説に使えるかも。

(レイルウェイ・ライター・種村直樹/1981.2.8「毎日グラフ『汽車旅カルテ』」より)


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